セクハラの事例/言葉だけでも懲戒解雇
私の会社で初めて、セクハラによる懲戒解雇がありました。
セクハラと言っても言葉だけです。
世間で言う陰湿なセクハラとはかけ離れた内容でも懲戒解雇になるのかと、驚きました。
「デートしない?」
「キレイな唇だね」
「キスして欲しいな」
60代既婚者男性が、30代既婚者女性にかけた言葉が理由です。
男性は挨拶をするかのようにいつも女性を褒めてジョークを言う人ですが、女性は自分だけが、口説かれていると思っていたようです。
親しげに仲良く話している姿を多くの社員が見ていたので、最初は喜んでいたように思えます。
それが続いたことで嫌悪感が増して旦那さんにこぼし、旦那さんが激怒したこともあってセクハラを理由に退職すると申し出たのです。
申し出を受けた以上、会社としては対処せざるを得ません。
それが懲戒解雇とは、誰もが言葉を失いました。
距離をおく態度などで察することのできる男性でしたので、ひとこと言うか態度で表せば、大ごとにならずにすんだであろうと多くの人が思いました。
この記事では、9.9割はセクハラにならないと感じていても、1人がセクハラだと言えばセクハラの扱いになり、懲戒解雇の処分にまでなるという事例をご紹介します。

場所はマイクロバスの中

私の会社は工業団地にあるため、送迎用のマイクロバスがあります。
7~8名が利用していますが、短時間勤務で利用しているのは30代女性だけだったので、帰り道は運転手である60代男性と2人きりになっていました。
女性が言われて嫌だったと主張した内容は次のとおりです。
- 「助手席に座りなよ」
- 「このままどこかに出かけようか」
- 「デートしない?」
- 「キレイな唇だね」
- 「キスして欲しいな」

この部分だけを切りとってみると
「娘ほどの歳の女性に何を言って・・・」
と思いますよね。
60代男性はイタリア人気質

男性はイタリア人のような気質で社内でも有名でした。
渡瀬恒彦似で女性に優しく女性大好き、ジローラモの日本版のような人です。
徹底したレディーファーストで、ユーモアがあって話好き、
「今日もステキだね」は
「おはよう」と一緒、
挨拶がわりで言う人でした。
多くの女性が褒め言葉や誘いの言葉をかけられたことがあり、みんな笑って流していました。

食事に誘われましたが笑って流しました。
まともに取りあわないことで意思表示です。
それ以上誘ってくる事はなかったし、「冗談だった」ってことにできますしね。
ほとんどの人が「男性のキャラクター」として流していました。
30代女性はおとなしい人

セクハラを主張した女性は、おとなしい人でした。
何よりも自分だけが言われ、口説かれていると思っているようでした。
最初は女性も喜んでいたようです。
楽しそうに男性と話しているのを私だけでなく、何人もが見て知っていました。
言われ続けたことでしつこく感じ、嫌気がさしたのではないかと思います。

男性はいい人なんですが、
ちょっとしつこいところがあるので察しました。
女性は旦那さんに話しており、旦那さんが激怒して「そんな会社やめてしまえ」と言ったことが退職を申し出るきっかけになったようです。
旦那さんは奥さんの話を聞くわけですから、男性がどんな気質であろうと関係なく、「言われて嫌だった」と言う部分を聞き続ければ怒り心頭もわからなくはありません。
2人きりの車内ですから、もしかしたら「あわよくば」の気持ちが男性にあったのかもしれません。
結局のところ、女性が感じたことが全てになってしまうのです。
セクハラに対する会社の対応

セクハラを理由に退職の申し出を受けて、会社は対処をするしかありませんでした。
「あの会社は何もしてくれなかった」
「あの会社はセクハラがある」
などと吹聴されても困るからです。
「大ごとにさせたくないから自分が辞める事で終わらせたい」という女性の思いとは裏腹に、男性を懲戒解雇に追いやる羽目になりました。
女性がセクハラを理由に退職を申し出たという報告を受け、すぐに男性から事情を聞き取り、出勤停止・自宅待機の指示がでました。
支社のトップが女性のお宅に飛んで行き、謝罪と処分する意向を伝えました。

初めての事態だったので
社長をはじめ役員招集のもと、
処分決定までバタバタしていました。
それから5日後、懲戒解雇の決定が下されました。

懲戒解雇には驚きで
みんな言葉を失いました。
支社のトップは再び女性宅に向かい、男性を懲戒解雇の処分にしたことの報告をしました。

女性は「もっと早くに相談するなりすれば良かった」と言っていたそうですが、
そうなんですよ・・・。
60代男性が失ったもの

男性は、元々3ヶ月後には円満退職をする予定でした。
定年を過ぎて半年ごとの契約更新をしていたのですが、更新を辞退していたのです。

3ヶ月後には男性に、
会社からは表彰、
女性たちからは日頃の感謝とお祝いをする予定でした。

悪天候の時は家の前まで送迎したり、
残業続きの時には差し入れをしてくれたり、
優しさとユーモアのある男性に感謝するパートさんが
たくさんいたんです。
20日以上ある有給休暇を使う予定だったので、実際の出勤は残りわずか1ヶ月半ほどになっていました。
会社からの表彰も、女性たちからの感謝のお礼も、有給休暇の権利も、築き上げた信頼も全て失ってしまったのです。
セクハラを防止するには

セクハラ防止①:嫌悪感を表す
セクハラを防止するには嫌悪感を表しましょう。
直接言うことができなければ、態度で表しましょう。
言葉をかけられても答えない、隣に座るように言われても行かないなど、抵抗しましょう。
呼び出されたり誘われても、引きずられて抱きかかえられない限りは自分の足で歩くのですから、自分の意思で行かないことです。
相手の立場が上でパワハラを含んでいる場合など、相手に直接表せない場合別の手段をとり、黙って受け入れるがままでいないようにしましょう。
セクハラ防止②:会社の相談窓口に言う
相手に直接いうことも態度で表すこともできない場合は、上司や会社の相談窓口に言いましょう。
本人に悪気がなかった場合、注意をすることですぐに改善することが可能です。

会社にはハラスメント対策の窓口があるはずです。
確認しておきましょう。
もし注意をしても改善されない場合は再度会社に訴え、対処してもらいましょう。
セクハラ防止③:セクハラになる言葉に気をつける
セクハラになる言葉に気をつけましょう。
セクハラは性的な不快感を感じることです。
人によって感じ方が違うので、何気ない言葉も退職に追い込むセクハラになり得ます。
9.9割の人が笑ってジョークと受けて流すことができても、中には自分だけ口説かれていると真に受ける人もいるのです。
褒め言葉であっても、嬉しいと感じるか不快に感じるかで変わってしまうから難しいですよね。

筋肉を褒めたいけど
セクハラと感じないか不安で
言葉をのみこんでいます。
セクハラだと感じたら

セクハラだと感じたら、まずは相手に気づかせましょう。
悪気があるかないかは、一度注意してみることでわかると思います。
不快に思っていたことを知っても、なお続くようであれば確信犯ですが、すぐに改めるのであれば、悪気はなかったといえるのではないでしょうか。
悪意のあるセクハラは注意してもなおらなければ、何らかの処分をしてでも根絶させるべきだと思います。
ですが、悪気がなくて相手の不快感を知って改めれるものであれば、大ごとにするべきではないと思うのです。
自分で言えなければ、誰かに言ってもらいましょう。
態度で表わせなければ、会社の窓口に相談しましょう。
セクハラというものに過剰に反応しすることで、褒め言葉などのコミュニケーションが希薄になっていくのも寂しいものです。
それとも時代だから仕方ないのでしょうか。

